千寿酒造は、創業百有余年、千年長寿祈願の酒を造る静岡県磐田市で唯一の蔵元です。

「無農薬米純米吟醸」に使用している酒米「五百万石」(除草剤・農薬・化学肥料を一切使用しない)を栽培する

太田農場の酒米づくり(2009)

地元酒米生産者「太田農場」と千寿酒造は10年前から生産契約を結び、「特別栽培米」を使用した酒づくりを行ってきました。通常お米の栽培は、除草剤・農薬を収穫までに7~8回使用し、化学肥料も使用します。太田さんは、食の安全が言われるようになるはるか以前から、これらを一切使用せずに安全なお米を作りたいと考え、挑戦と失敗を繰り返しました。まず、田植えのころにまく除草剤1回だけで高品質なお米の栽培ができるようになり、さらに研究を重ね再生紙や米ぬかを使用した田植えをすることにより、除草剤・農薬・化学肥料を全く使用しないで高品質なお米が出来るようになりました。※2009年は除草機を導入した酒米づくりに挑戦します。除草剤を使用しないため、特に田植え後、稲が地面を隠すように成長するまでにたくさんの雑草が生えてきます。その雑草を今年は除草機で土の中に埋めてしまうという方法をとります。では、実際の圃場の様子をご覧ください。

1. 田植え(2009.5)

昨年より3週間程早い田植えとなりました。通常の田植え機を運転して圃場に苗を植えていきます。田植え機を運転するのは太田さんの息子さんです。

昨年の再生紙を敷く田植えに比べ通常の田植え機では圧倒的に早く植わっていきます。本年の作付面積は昨年の2倍強になりました。

あっという間に田植えが終了しました。除草剤を使用していないため雑草が生えてきますが、除草機による除草(2回)をすることになっています。


2. 田植えから約2ヶ月後(2009.7)

除草機を用いた除草の様子を取材する予定でおりましたが、圃場を見ると雑草が全くと言っていいほど見られません。今年は除草機を使用する必要はないそうです。これは、田植え前の荒代掻の際に撒いた米ぬかによって、雑草が抑えられたためだそうです。ここまでの生育状況は気候などの影響で生育が若干遅れてはいるものの概ね良好だそうです。

田植えから約2カ月たち、だいぶ成長しました。

驚いたことに圃場内には雑草が見当たりません。

予定していた除草機による除草は必要無くなりました。


3. 除草機使用の様子(2009.7) ※一般米の圃場にて

せっかくなので、一般米の圃場で除草機を使用した除草の様子を見せていただきました。今年から導入した乗用タイプの除草機ですが、昨年まで使用していた、人が圃場の中を歩きながら使用する歩行タイプと比較して3人分以上の働きをするそうです。何より歩きづらい泥の中で20kgほどある除草機を頻繁に持ち上げたりすることが無くなって助かっているそうです。※除草機は100%雑草を取り除くわけではありませんが稲の生育に問題が無い程度に雑草を減らします。

今年導入した除草機です。
※一般米の圃場です。

雑草が生えています。
※一般米の圃場です。

除草機が通ったあとです。
※一般米の圃場です。


除草機の手前に雑草が固まって生えています。そこを通過していきます…
※一般米の圃場です。

除草機通過後は雑草がありません。株間・条間ともにきれいに除草されています。
※一般米の圃場です。

画像ではうまく分かりませんが、株間は羽輪とタイン、条間はカゴローターで除草します。
※一般米の圃場です。


4. 肥料まき(2009.7)

肥料を撒くのは通常、田植え前と今の(穂が出る前の幼穂【ヨウスイ】)時期の2回行います。肥料は、有機肥料を発酵させた「ボカシ肥料」と言われるものを使用しています。ボカシ肥料は、肥料成分とともに有用な微生物も多く含まれていて、連作障害や稲の病気が減るなどの効果があります。この肥料まきが終われば、収穫までは大きな農作業はありません。このあとおよそ20日ほどで穂が出て、そこからさらに40日前後(コシヒカリは32日程)で収穫となります。酒米はコシヒカリなどの一般米にくらべて、実が大きい分余分に時間がかかるのだそうです。

圃場に水をはります。これにより機械に硬い土が絡まりにくくなり、肥料の養分が均一に土中に浸透しやすくなります。においも養分も水を張ったところに留まります。

ボカシ肥料を拡大したところです。二ヶ月間半発酵させた有機100%の水稲専用肥料【JAS適合肥料】で、うずらふん・魚節煮かす・米ぬか・コンブかすなどで作られています。

機械で振り撒いていきます。上部の▼の部分にボカシ肥料がセットされていて、煙の様に見えているのが撒かれているボカシ肥料です。収穫まで順調に生育することを祈ります。


5. 稲刈り(2009.9)

秋の気配を感じられるようになり、いよいよ稲刈りです。今年は、前半に気温が高い状態が続いたため、茎の第四節間付近が伸びすぎて稲が倒れやすくなっているそうですが、この圃場では倒れている穂はありませんでした。稲刈りはコンバインを使ってあっという間に終了しました。今年は平年並以上の収量となり、安心しました。

稲穂の間から僅かながら雑草も顔を出している

コンバインを操るのは太田さんの息子さん

刈り取り作業はあっという間に終了した

コンバイン内で脱穀された籾をトラックに移します

前半の天候によりこの部分の茎が伸びすぎている

お米にしてみないとわからないけど見た目良い感じです




以下は、2008年度の酒米づくりの様子です。

太田農場の酒米づくり(2008)

地元酒米生産者「太田農場」と千寿酒造は9年前から生産契約を結び、「特別栽培米」を使用した酒づくりを行ってきました。通常お米の栽培は、除草剤・農薬を収穫までに7~8回使用し、化学肥料も使用します。太田さんは、食の安全が言われるようになるはるか以前から、これらを一切使用せずに安全なお米を作りたいと考え、挑戦と失敗を繰り返しました。まず、田植えのころにまく除草剤1回だけで高品質なお米の栽培ができるようになり、さらに研究を重ね再生紙や米ぬかを使用した田植えをすることにより、除草剤・農薬・化学肥料を全く使用しないで高品質なお米が出来るようになりました。通常の栽培方法にくらべて手間もコストもかかりますが安心して提供できるお米として自信を持って栽培しています。そして、安心して飲んでいただけるおいしいお酒をつくりたいと願う千寿酒造と思いが重なり誕生したのが「無農薬米純米吟醸 千寿」です。発売後、年を重ねるごとに人気・関心が増しています。再生紙を用いた除草を行う実際の圃場の様子をご覧ください。

田植え(2008.6)

再生紙のロールがセットされた専用の田植え機を運転して再生紙を敷きながら圃場に苗を植えていきます。

通常の田植えの何倍も時間をかけて丁寧に隙間なく再生紙を敷き、雑草の生える場所をなくします。

敷かれた再生紙の間から植えたばかりの苗が見えます。稲が地面を隠すまで再生紙が雑草の生育を防ぎます。

田植えから1ヶ月(2008.7)

稲の分蘖(ぶんけつ)が進みだいぶ成長しました。雑草は見た限りではまだ生えてきていません。

敷き詰められていた再生紙は分解が進み形が分からなくなっていますが、もうしばらくは除草効果を発揮します。

使用する有機肥料を見せて頂きました。鶉フンやコンブかす、魚節煮かすなどを原料とする地元企業のものです。

稲刈り(2008.9)

稲穂の間から少し雑草が見えます。除草剤を使っていない証しでもあります。

コンバインを使用して刈り取ります。刈り取りはあっという間に終わります。

稲刈りの終了した圃場です。再生紙は完全に分解され土になり確認できませんでした。


お酒は20歳になってから。妊娠中・授乳期の飲酒は控えましょう。

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